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繼續Q29~Q63

 

【Q32】作品を、特に心理描写を書く時に気をつけていることがあれば教えていただきたいです。(ぱげしさん)

米澤さん:小説の都合で登場人物を振りまわしすぎないことです。たとえ、このように感じて貰わなければ小説が成り立たなくて困るということがあっても、彼、彼女はそうは感じないというのであれば、小説の方で工夫して問題を回避するべきであって、登場人物の心はできるだけ曲げないようにと心がけています。



【Q33】米澤穂信さんの小説は基本的に登場人物が自分自身の目線から物語を語り進めていくといったスタイルが多いように思われます。これは何か哲学的意味がありますか?
自分としては親しみやすくさらにその人の感情がよく分かるので読みやすいです。(玉にポン酢の誉れッティさん)

米澤さん:一人称ということですよね。三人称で書くこともありますが、たしかに割合としては一人称の方がやや多いようです。 
プロットを最後まで見渡したとき、最高潮の部分で主人公の思いが露わになる、そこを一人称で書きたいために一人称を選択することがあります。三人称の小説も、また書きたいと思っています。



【Q34】古典部シリーズでは既存のガジェットにとらわれず、様々な物語の中にミステリが溶け込んでいると思います。魅力的なお話が外枠にあり、そのお話に守られるように、内部でミステリがしっかりと息づいている印象です。ひとつのアイデアの種から魅力的なお話を組み立てていくコツのようなものはありますか?(柴田陽さん)

米澤さん:ありがとうございます。先に書いたこととかぶりますが、ミステリを先にするようにしています。物語を先にして、後からミステリを入れ込もうとすると、往々にしてミステリ部分が浮いてしまうからです。その上で、ミステリとしての解決と、小説としての最高潮が一致するように書いています。



【Q36】米澤先生の作品には群青、緋、若草色の髪飾り、白のトレンチコート、茜色の傘、赤いハンマーなど、印象深い色のアイテムが出てきますね。登場人物の持ち物を考えるとき、どのように色選びをなさるのか、とても気になります。(稲さん)

米澤さん:これという法則があるわけではなく、このひとにこの色が似合いそう、似合わないところがかえって面白そうなどと思いながら決めています。街を歩いたり雑誌を読んだりするとき、こんな色づかいがあったのかと発見すると、使ってみたくなることもあります。

筆記:

問:作品中出現許多令人印象深刻的顏色描寫,米澤先生是如何考慮登場人物的使用物品的顏色呢?

答:顏色的考慮並沒有什麼法則,是思考著和角色適不適合、有不有趣之類等時決定的。走在街上或閱讀雜認時,也會發現一些想使用看看的顏色。

 

 


【Q38】古典部シリーズは日常に潜む謎を解いていく物語ですが、米澤さんは日常で謎に遭遇したら千反田のように興味津々になって解こうとしますか。それとも奉太郎のように省エネ主義ですか。(Scentさん)

米澤さん:「ああじゃないかな」「こんなことも考えられるな」とあれこれ推論して楽しむことはありますが、一番肝心な裏付けや余詰め潰しをするわけではないので、好奇心と省エネの折衷のような感じです。



【Q39】好きなゲームを3つほど教えてください。(ちょーかーさん)

米澤さん:すぐに思いつくのは、国内なら「タクティクス・オウガ」「レイフォース」「カオスシード」、海外だと「BIOSHOCK」「GOD OF WAR」「R.U.S.E.」です。



【Q40】先生は自身がもし作家になっていなければ、どんな仕事をしていたと思いますか?(mtrgtさん)

米澤さん:ううん、シナリオライターや脚本家か、公務員でしょうか。



【Q41】作家さんはよく、キャラクターの中に自分と近い部分を入れて書くと聞いたことがあります。古典部シリーズの中で、米澤先生と似ている性格を持ったキャラと、考え方が違うなーと思うキャラをそれぞれ教えて下さい。(リリチコさん)

米澤さん:自分に近い部分を入れるというより、たまに(間違って)入り込んでしまうことがある、というぐらいがより正確かと思います。私小説や自伝を書く場合は別ですが、基本的に作家と登場人物はまったく別の存在なのです。なので、性格や考え方が似ている人物というのは出て来ていないと思います。強いて言うなら、福部里志の気が多いところは、共通しているかもしれません。



【Q47】米澤先生はどのようにミステリーのトリックなどを思い付くのですか?(ムーみんさん)

米澤さん:ミステリには「フーダニット」や「ハウダニット」、「暗号」「倒叙」などさまざまな型と、その発展形、複合形があります。今回はどのようなミステリにするのか骨格を考え、そこから何をミステリ的に見せるのか、構造の面から考えていきます。たとえば「わたしたちの伝説の一冊」は、フーダニット(犯人あて)からアプローチしていくものの、ミステリとしての核はハウダニット(動機あて)にあり、実は冒頭に掲げられた折木奉太郎の読書感想文が手がかりとして呼応してくるものの、本当の動機は語り手である伊原摩耶花にしか知り得ないという構造を取っています。



【Q50】「鏡には映らない」で、芝野さんは鳥羽さんのことを、折木の彼女だと言っていましたが、これは芝野さんの勘違いだということでよろしいのでしょうか? 本編ではあまり語られていないことから、何か意味があるのではないかと思いながら、どうしても気になってしまいましたので質問させていただきました。これからも応援しております。(ソーサーさん)

米澤さん:「アサミ次第だな」と言ったとき、折木は「アサミ」というのが何を指すのか、わかっていませんでした。なのでそれが同学年の生徒の名前だと知り、驚いたのです。つまり少なくともこの時点では、折木と鳥羽麻美が恋仲と言うことはあり得ません。



【Q51】『ふたりの距離の概算』四章で、折木が見かけた「この世に楽しいことなんか何一つないとでもいうように」物憂げな顔をしていた女子生徒は鳥羽麻美?(……いや、折木は知らない女子生徒って言ってるけど……)(ラピスラズリの丘さん)

米澤さん:そうだと考える理由はありませんが、違うと言い切ることもできません。折木と鳥羽麻美には、直接の面識がない可能性もあるのです。



【Q52】
・短編集を出す際、掲載順はどのような決め方をしていますか?(名前を入れてくださいさん)
・『いまさら翼といわれても』を手にして目次を開いたとき、収録順に驚きましたし、とてもドキドキしました。どの短篇も既に一度読んでいましたが、単行本としてまとめられた形で再読したいまでは、この並び順でなければいけなかったのだと感じています。単行本の収録順は、どの段階で、どのように決まっていったのでしょうか。(ぐみさん)

米澤さん:細く切った紙に短篇の題名を書き、順序を入れ替えて最善の並びを検討します。『いまさら翼といわれても』の場合、一話目が「箱の中の欠落」、最後が「いまさら翼といわれても」であることは念頭に置いて書き進めていたので、その間をどう並べるか、いろいろなパターンを試しました。

筆記:

問:《いまさら翼といわれても》單行本中的短篇順序是如何決定的呢?

答:起初便是以第一篇為《箱の中の欠落》,最後一篇為《いまさら翼といわれても》這樣的想法寫各個短篇的,也嘗試了各種版本。

 

 


【Q53】「物語を書いている中で一番ドキドキしながら書いたシーンは何処ですか? あと、物語の展開で一番迷ったところもお願いします。僕、気になります!(雲猿さん)

米澤さん:「いまさら翼といわれても」が一番どきどきしたように記憶しています。締切に遅れた上、枚数が予定通りに進まなかったのです。  一番迷ったのは、「わたしたちの伝説の一冊」を伊原視点にするかでした。既に伊原の一人称で「鏡には映らない」を書いていたので、「伝説」もそうすれば、短篇集に伊原視点のものが二つ入ることになります。バランスを取るためには福部視点で書くべきではないか……と考えました。  しかしこの措置は「短篇集全体のバランスを整える」ことには役立っても、小説を良くすることには繋がりません。「わたしたちの伝説の一冊」という短篇に限っていえば、最良の形を曲げることになります。それはやはり間違っていると思い直し、いまの形で書きました。



【Q54】表題作「いまさら翼といわれても」の中で、奉太郎が冷やし中華を作っていますが、即席のタレに混ぜた味醂は煮切っているのでしょうか? 何故か気になってしまい、夜も眠れません!(熊さん)

米澤さん:洗い物が増えますし、タレを冷やす必要も出て来ますので、面倒がって煮切っていないと思います。




【Q55】奉太郎は最近の短編ではよく料理をしていますが、そのなかでも(そのなかからではなくてもいいです)奉太郎の得意料理はなんでしょうか?(m nicoさん)

米澤さん:得意料理というほどのものはないと思います。なにぶん手間の掛かったことはしないでしょうから、レパートリーは炒め物ばかりだろうなと思っています。

筆記:

問:奉太郎在最近的短篇中做了料理,他的拿手料理是什麼呢?

答:他並沒有所謂的拿手的料理,而且因為太費時的料理應該是不做的,所以大概都只是炒炒菜之類。

 

 


【Q56】舞台が岐阜県ですが、古典部メンバーをはじめ登場人物には訛りがないですよね。ほかの方の作品でも地方の言葉が話されないことはしばしばありますが……米澤先生の場合、みなさん標準語で会話しているイメージなのでしょうか。それとも、イメージの中では地元の言葉で話されている会話を直しているような感じなのでしょうか。気になります。(折木の叔母さん)

米澤さん:まず第一に、小説の舞台はあくまで架空の「神山市」であり、岐阜県にあるとは明記していないので、岐阜の方言を使う理由はありませんでした。第二にですが、私も学生時代の友人たちも方言はほとんど使っていなかったので、いわゆる「標準語」で書くことを不自然とは感じないのです(イントネーションには多少癖がありましたが……)。お答えとしては、標準語で話しているイメージということになります。 それでも、「B紙(B1用紙)」「放課(授業終了)」「車校(自動車学校)」などの東海地方の方言が入ってきてしまうことはありますね。



【Q57】『愚者のエンドロール』で入須冬実は折木供恵に対し多大な信頼を寄せているように思えるのですが、彼女たちはどういった経緯で知り合い、今に至っているのでしょうか?(せっちゃんさん)

米澤さん:いまのところ書かれていませんが、在学期間がかぶっていないので、学外で知り合ったものと思われます。

筆記:

問:入須冬實是如何與折木供惠相識的呢?

答:目前雖然未寫過,但因為兩人在學期間沒有重疊,可想而知是在學校外認識的。

 

 


【Q58】里志はいつも巾着袋を持ち歩いていますが、なぜ普通のカバンなどではなく巾着袋にしたのか、理由や考えがあれば教えていただきたいです。(ゆりぴーさん)

米澤さん:これも折木奉太郎の白いトレンチコートと同じです。つまり……私が学生時代に使っていたものなのです。

筆記:

問:為什麼里志總是拿著束口袋,而不拿普通的包包之類的袋子呢?

答:這和折木穿的白色大衣一樣理由,是我學生時代曾使用過的東西。

 

 


【Q59】奉太郎は文集「氷菓」に関谷さんの実名や高校時代の話を詳しく書いたのですか? 仮名にしたり脚色したりしたのでしょうか?(よしだあさん)

米澤さん:関谷純の本名は公開されている学内の資料に書かれているものですから、敢えて伏せる意味はありません。しかし千反田の気持ちを考え、当時の関係者(特に関谷純の同窓生)が読むかもしれないことを考えれば、仮名かイニシャルにしたのではと思います。歴史について書くのなら不徹底な態度ではありますが、折木にそこまでの責任と覚悟を求めるのは酷というものでしょう。



【Q60】
・「えるきてる」とかくだらないジョークが好きなのですが(失礼)、先生が考えてらっしゃるのですか? それとも担当編集の方が考えてるのですか?(缶ジュースさん)
・古典部シリーズ、いつも楽しく読ませていただいてます! ワイルドファイアの実況など、物語の端々に面白い冗談が織り交ぜられていて、それが大好きなのですが、このような冗談はどのようにして書いているのですか? 書きながらパッと思いつくものなのか、じっくり考えて捻り出しているのか……。是非教えてください!(出汁煮バナナさん)

米澤さん:私が! その場で! です!



【Q61】
・第1作『氷菓』発表から15年が経ち、例えば、携帯電話や時事ニュースなどは、2001年当時と現在とでは、大きく変わってしまいましたが、そのような作中世界と現実世界との乖離について、創作活動をする上で苦労している点などがあれば教えていただきたいです。また、それと関連して、古典部シリーズの時代設定は、今後も2001年あたりからの数年間という理解で、読み進めれば良いのでしょうか?(肘神様さん)
・「ダ・ヴィンチ」でのインタビューを拝読し、時間というものに対する強い拘りを感じました。古典部や小市民の舞台は00年代初頭であり、こんにち我々が生きる2010年代半ばとは時間が大きく離れ、生活スタイルや文物など色々と変化がありますね。そうした過去の世界(それも歴史や古典になるほどには離れていない時間軸です)に没入して執筆するにはそれ相応の苦労があるのではと思うのですが、実際の所はどうなのでしょう。時間軸の違いに基づくミスなどなさった事はおありでしょうか。(武衛さん)

米澤さん:〈古典部〉ではないのですが、以前作中でなにげなく成田空港を出したとき、開港前だと指摘されてしまったと思ったことがあります。〈古典部〉は、彼らの入学年が2000年ですから、折木たちが二年生になった年は2001年で間違いありません。

筆記:

問:古典部系列中,作品裡的時間與真實世界的時間在歷史上、生活上、使用的物品等方面有發生不一致的錯誤嗎?

答:在古典部系列並沒有,因為在古典部系列中,折木他們在2000年高中入學,二年級時是2001年並沒有錯。



【Q62】古典部シリーズのなかで米澤さんの一番お気に入りの「謎」はなんですか? ちなみに僕は「心あたりのある者は」の、校内放送の真意は? という謎が一番魅力的に感じました。(wakkunさん)

米澤さん:どれもそれぞれ思いがあるので、これが良くて他はそれほど、ということはないのですが、『ふたりの距離の概算』に入れた「入部受付はこちら」と「とても素敵なお店」は、ちょっと面白いアプローチと結末が書けたかもと思っています。

筆記:

問:在古典部系列中,請問米澤先生最喜歡的「謎」是哪一個呢?

答:對每一個故事都有各自不同的感受,雖然並沒有某個故事比別的故事好的想法,但覺得在《兩人距離的概算》中的「入部接待在這邊」和「非常棒的店」這兩篇,有比較有趣的展開和結尾。

 


【Q63】主要登場人物の(折木くんのだけでも構いません)名前の由来を教えてください!(うかさん)

米澤さん:折木奉太郎の人物像は出来上がっていて、下の名前をどうしようか……と考えながら街を歩いていたとき、神社の境内の看板に「供奉」という文字を見つけました。それがなんとなく印象的で、「供恵」「奉太郎」の姉弟になりました。

筆記:

問:請告訴我折本等人的名字的由來!

答:在折木奉太郎的人物形象成形時,走在街上一邊思考下面的名字的時候,看到了神社境內看板上的「供奉」文字。對此非常有印象,因此便有了「供惠」與「奉太郎」姐弟。

 

 

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